市長の部屋

コラボミュージアムCity開設にあたって

 子どもたちの学びあいや学校間による協働学習のさらなる充実・発展に寄与するために
 「異なる能力を持った者が協力し合って大きなプロジェクトを成功させること」は子どもの頃からの憧れである。童話では「6人の家来」(グリム童話)、マンガでは「サイボーグ009」(石ノ森章太郎)、映画では「7人の侍」(黒沢明)や「スター・ウォーズ」(ジョージ・ルーカス)を好んで見てきた。
 今回の構想の原点は平成14 年夏の「鳴門セミナー」である。当時10 数年にわたって私の研究室が主催してきた、主に総合的な学習や生活科、情報教育(現在はアクティブ・ラーニングやカリキュラム・マネジメントを中心テーマとしている)に関しての実践交流の場としての2日間のセミナーである。
 「総合的な学習で防災教育を実践しているが子ども向けの博物館がない」と訴える高知市の小学校教師、岡山市においてデジタル博物館開設の準備をしている博物館員、遠く離れた教師や子どもたちを繋ぐ協同学習用ツールの開発者の各々の発表と、「子どもの追究課題に関する専門家の支援をもっと継続的に行えないか」「子どもたちの学習の成果を真に興味ある関係ある人に発信できないか」と考えていた私の思いが絡まって「でじたるキッズミュージアム」(略称はDKM)構想につながった。
 この取り組みは、平成15年度に経済産業省の委託を受けて財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC、現在は一般社団法人日本教育情報化振興会(JAPET&CEC))が実施した「Eスクエア・アドバンス」において採択され、子どもや大人が自ら興味関心のあるテーマを追究し、発信し、同じ興味を持つもの同士がつながり合うことを可能にするシステムとして開発し、その結果7つの博物館を開設した。本プロジェクトの活動、成果は各学会での発表やホームページ(http://www.d-km.jp/)で広く普及・広報を行った。
 あれから10数年余りが経った。当時はADSL回線がようやく普及し始めたころであったが今や光回線は当たり前、デスクトップパソコンも今やタブレットパソコンの時代である。技術の進歩はめざましく、子どもたちが授業で扱う機器や機材も大きく様変わりした。
 しかし、共に学び合うという学習スタイルは今も変わらない。技術の進歩により、場所や時間を超えた学びあいは10数年前と比較して遥かに敷居は低くなった。あとはそれらの素晴らしい成果を広くアピールできる場所である。
 「コラボミュージアムCity」は、JR四国コムウェアの協力の下、全国の子どもたちが取り組んだ交流による学びの成果を公開する場である。「でじたるキッズミュージアム」の進化系と言ってもよい。
 ミュージアムはこれからも増える予定である。そのためにはミュージアムを閲覧するだけでなく、今後子どもたちと共に学びあう学習や交流学習を想定されている小中学校の先生方は、是非ミュージアムへの登録者となっていただきたい。
 交流のサポートは運営委員会で対応する。学習成果はミュージアムに登録され、全国の多くの方々に子どもたちが取り組んだ成果を見てもらえる。登録校同士の交流も期待される。
 「コラボミュージアムCity」は全国の子どもたちや先生方みなさんで創る(コラボする)博物館(ミュージアム)の街(City)である。
市長写真
コラボミュージアムCity市長
村川雅弘
(甲南女子大学 教授)